Postal Summary, 2018

    郵便局で入手できる宅配用の箱, 感光乳剤

     

    'Postal Summary' は、郵便システムを利用した写真作品である。郵便局で入手できる宅配用の箱の片面にピンホールを開け、内面に感光乳剤を塗り、それを郵便局に持って行き、送り先も宛先も自分名義にして郵送する。箱は郵送されている過程を露光しながら手元に戻ってくる。箱を受け取ったら写真暗室で現像液、定着液に浸し、露光された像を現像する。この時箱は変形し、使い古されたような風貌になるが、これも作品の一つの要素である。浮かび上がった像は往往にして様々なパースの空間が多重露光されたような抽象的なものとなる。これは箱が郵送されている過程で様々な場所に置かれ、その光景を露光し、それが乳剤面の上に重なっていくためである。それぞれの空間に置かれた時間の長さや箱の向きなどによって色々な表情が浮かび上がる。国内だけでなく、日本からアメリカ、ヨーロッパからアメリカなど、旅先から国際便でも実践している。この箱自体が写真であり、カメラでもある。